十二行「落葉焚」の巻
二上貴夫捌
冬 落葉焚とうの昔になりにけり 御子柴 万里子
冬 掃き寄せられし蟷螂の枯 田 所 順 子
雑 泡と消ゆ「あきらめないで」との夢を 佐 藤 大 福
雑 電池の切れし電気自転車 小 林 利 夫
雑 おもちゃ屋の前に土下座の三歳児 熊 澤 初 江
夏 仏法僧の声に吸われし 初 澤 弘 文
夏 白樺の林の向こう明易く 近 藤 千 恵
雑 未練がましきK子とのこと 二 上 貴 夫
雑 粋な背の煙草銜えてあのお方 水 落 恵
秋 エッフェル塔に秋の夕焼 渡 辺 功
雑 荷を解けば箱はワインの赤ばかり 竹 間 愛 子
雑 口笛を吹く多摩川の土手 万里子
起首・平成二十三年十一月二十六日
日野市・日野宿交流館